【監修】行岡病院リウマチ研究室長 村田 紀和先生
順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院 特任教授 小林 茂人先生
強直性脊椎炎は、まだ原因がはっきりとわかっておらず、根本から治療することが難しい疾患です。そのため、これまでは消炎鎮痛薬や関節リウマチの治療薬(抗リウマチ薬)を服用しながら、運動療法(体操)・理学療法を行うことによって、痛みやこわばりをやわらげ、脊椎の変形を防ぎ、身体機能(体の動き)の保持をはかる治療が行われてきました。
しかし研究が進むとともに、強直性脊椎炎の炎症にはTNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)と呼ばれる物質が深く関係していることがわかってきました。TNFαはもともと人の身体にあるものですが、強直性脊椎炎の患者さんではTNFαが異常に増えています。
こうしたことから、TNFαの働きをおさえることが強直性脊椎炎の治療につながるのではないか、と考えられるようになりました。主に四肢の関節に炎症が起こる関節リウマチでも、その炎症にはTNFαが関係しており、TNFαの働きをおさえることによって高い治療効果が得られています。
レミケード®はTNFαをターゲットにつくられた新しいタイプの薬です。投与するとTNFαに強力にくっついて、その働きをおさえこむ作用があるほか、TNFαを産み出す細胞をこわす作用も持っています(下図)。
レミケード®はアメリカ生まれの薬ですが、日本でも関節リウマチをはじめ、乾癬(かんせん)、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎と、さまざまな疾患の治療に使用され、これまでに約13万人を超える患者さんが投与を受けています(2020年8月現在)。
また、海外でも100ヵ国以上の国々で承認され、投与された患者さんはすでに300万人以上にも上っています(2020年8月現在)。